【実話】終わらないトンネル
慌てて向かった放課後、
病院には中学時代の同期が100人近くー。
その人混みにユウタが見てた
「梓!来てくれたんだな
俺ら来た順番にテルキに会ってきた
お前も会いに行ってやってくれ」
といって、エレベーターを指さした
「どこにいるの?」
「4階のICUってとこ」
複雑な心境で
私はエレベーターに乗り込み4階を押した
扉が開きエレベーターを降りると
見たことのある兄妹がー。
テルキ君の弟と妹
学校の行事や遊びのとき
すこし見かけたことがあった
平気な笑顔の影に見える悲しい顔
「わざわざ来てくれてありがとうございます。」
不慣れながら心からの優しい言葉に目頭が熱くなった
ICU(集中治療室)
ロック付きの二重扉、
中には完全防備な医療スタッフ、
入られてる患者さんの心電図が
壁のモニターに映される
ツンと張り詰めた空気─。
弟さんが黙って
ひとつのベットを手で示す
おそるおそる近付きベットを覗きー
そこに居たのは私の知る
元気な“彼”ではなかった
全身には管が何本を繋がれ
横向きにぐったりと眠っている
そして傍らにご家族が何とも言えない表情で寄り添う
と思った瞬間、
壁のモニターがサイレンを立て
心電図が赤く点滅した
「出てください!」
看護師さんがすぐに叫ぶ
ベットのカーテンが閉められて
「テルキ!テルキ!大丈夫だよ!
居るからね!頑張れ!テルキ!テルキ!!」
家族が必死で名前を叫び呼び戻そうと─。
ショックだった
こんな状態だなんて
こんなことになるなんて
どうしてなのか何がこの子に起きたのか
考えているうちに病室を出された