【実話】終わらないトンネル
「今夜がやまらしいんだ…」
誰かがそうロビーで言った
号泣する人、
唇を噛み締め鶴を折る人、
励まし笑顔を見せる人、
皆がみんな、闘っていた。
元気になって欲しい一心で
みんなで黙々と
病院のロビーで鶴を折った
何時になろうと
面会謝絶で会えずとも夢中で─
死にたい私と生きたい彼…
私の命をあげられるならあげたい。
今、空から死神が現れて
私の命を奪う代わりに
彼の命を救ってくれないか
そんな事を一人考えた