【実話】終わらないトンネル
2020年12月31日木曜日

今年も素晴らしい一年でした。
生きられていることに感謝しかありません。
でも、こうしてここに私が思いを綴るのは
病気の恐ろしい不安が襲うからです。
ここに記したことは全て私が忘れたことばかりです。

記憶障害。後遺症であるこの障害を悩まされてはや10年近く経ちます。
私には記憶と思い出も何もない。
今では普通に見える生活にも病気の重い障害は見え隠れしています。
残念ながら完治はなく残念ながら死ぬことも出来ません。
「過去を思い出したら貴方は死にます。それだけのことがあったんですよ。」
あの日聞いた絶望の言葉が7年間、私の頭の中を回り続けています。

また明日が来て来年が来て何かが始まります。
この病気がなければこの障害がなければ、私はもっと自由だったのではないか。
何百回も何千回も繰り返し思いました。
明日も心を強く持ち歩み続けます。
いつ何時私は死んでもおかしくない人間です。

死ぬまでにこれを読んだ方の心に
何か生きる力を与えられたらと思います。

思い出が欲しい友達が欲しい記憶が欲しい
青春が欲しい楽しい気持ち記憶が欲しい
今の過去の私は真っ白な顔で
こちらに向かって訴え続けています。
過去の自分を見ても自分だと分からない
過去にいた場所に行っても居たと分からない
何も分からない
それは異常なこと、分かってます。
仕事もしてはいけないこと
治療をまずしないことも。
けれど、過去と向き合うことは死を意味する。

進むしかない
未来しか私にはないのです。
今日だって明日だって死にたいよ。
それが私の本音です。

皆さん、死なないで下さい。
貴方は必要な存在です。
大丈夫、学校は休んでいいから
仕事も行かなくていいから
だから死なないで下さい。
心の病気ほど辛いものはない。
無理をして後遺症が残っては意味がない。
守ってくれる人がいないなら
ご自身で守って下さい。

私は今日も生きています。
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