あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~

啓said



史花が交通事故にあった



それを母さんから聞いたのは、史花が事故にあった翌日のことだった




昔から仲の良い俺の両親と史花の両親


とくに母さんとおばさんは中学生の頃からの親友らしく、なにかあるとすぐに母さんに伝わる


普段は男らしいおばさんも、史花のことになると途端に弱くなる


だから、史花がピーマンを食べないだとか、史花が転んだとかで電話がくるのは、ほとんど当たり前のようになってきていた


そんなおばさんの話を、母さんはいつも楽しそうに俺に話す


でも、その日は違った


電話がきたときは「また万智だ」と笑っていたのに、電話をし終えたあとは、俺の顔を見てすぐに「帰るよ!」と言い、帰る準備をし始めた


お葬式はすでに終わっていて、あとは少し観光をしてから帰ろうということになっていたから別に帰るのはいい


でも、母さんはなぜかその理由を話そうとしない


「どうしたんだよ」


そう、俺と父さんが帰りの電車のなかで聞くと母さんは一息ついてからこう言った


「史花ちゃんが…交通事故にあったって電話がきたの…」


「は…?」


「大丈夫なのか?!」


父さんが母さんにそう聞くと、母さんは1回、縦に首を動かして


「命に別状はないんだけど、事故で右肩の骨が粉砕骨折したらしくてね…。もう投手は…」


と言い、下を向いてしまった

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