僕と三課と冷徹な天使

いない

僕はコオさんから引継いだ
たくさんの仕事に慣れてきた。

コオさんは、疲れていたのか
昼休みはいつも昼寝をしていたが、

最近は屋上で見かけたり、
三課であっこさんと
おしゃべりをしている日もある。

楽になったみたいで嬉しい。

僕は本当にがんばって良かったと思う。

仕事としてはプレッシャーもあるし、
大変だけれども、

部長が親身に話を聞いてくれて
吉田さんの対応に困っていると
部長から話をしてくれることもあった。

部長にはヤキモチばかり焼いていたが、
今ではすごく信頼して、感謝もしている。


終業時刻を迎えると、

「今日は何やる?」

とコオさんが聞いてくれる。

仕事に余裕ができたコオさんは
今までとは逆に、僕を手伝ってくれる。

早く帰してあげたいけど、
すごく助かるので
いつも仕事をお願いしてしまう。

「今日はこの伝票入力をお願いします」

吉田さんの残した伝票入力を
コオさんにお願いする。

「りょうかーい」

と言ってコオさんはサクサク入力する。

手伝ってくれるのはもちろん嬉しいが、
隣にいてくれるだけで、すごく心強い。

このまま一緒に仕事をしたいのだが、
今日は残念ながら
部長と打合せがあった。

「じゃ、僕はちょっと部長と
 打合せをしてきます」

と言って三課を出る。

「いってらっしゃーい」

と言ってくれるコオさん。

家庭的な妄想に走りそうになるが、
これから打合せなので抑えて
総務部に向かう。


部長との打合せを終わらせて
三課に戻ると、コオさんがいない。

デスクに戻ると、
頼んだ伝票が僕の机の上にあるので
仕事は終わっているようだ。

カバンは置いてあるから
帰ってはいない。

休憩かな?

今度から先に帰っていいですよ、と
言っておこうかなあ。

さみしいけど・・・

なんて考えていると
コオさんが戻ってきた。

「あ・・・灰田帰ってたんだ。
 おつかれー」

「はい。お疲れ様です。
 休憩ですか?」

「うん。ちょっとコーヒー飲んできた」

コーヒー?

夜眠れなくなるから、残業時間は
カフェインを取らないようにしていると
言っていたような気がする。

「へえ。珍しいですね」

何の気もなく僕は言った。

「え?あ・・・うん。そ、そう?」

ちょっと変な感じのコオさん。

なんだろ?

「あ、これお土産。チョコもらった」

と言ってコオさんは僕にチョコを渡した。

・・・なんかすごく高級そう。

こんな高級なチョコ、
誰にもらったんだろう。

でもコオさんが、何となく
落ち着かない感じなので、何も聞かずに、
ただチョコを食べることにした。
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