もう一度、あなたと…
何もかもが夢のようだった。
ウエディングドレスも指輪も、マンションから見える景色も、あのレトロな町並みも……
何もかも…全部……夢だと思ってた……

(だけど、そうじゃなかった…私の方が…間違ってた…)


全てが都合良くいき過ぎて、そうでないとおかしいと感じていた。
いつか醒めるに違いないって、そう思ってた。

(でも、もう醒めなくていい…。これが現実なら、このままずっと続いて欲しい…)

誰かと一緒に生き続けることの難しさを、二度と経験したくない。
変わらない愛を誓ったこの人と…生きていけたらそれでいい。
手の温もりも、優しい笑顔も、これから先、ずっと変わらないでいて欲しいーーーー


「…ひかる…私と一緒にいて…。私と共に…生きていって…」


32才だと思ってた自分が言いたかった言葉を、26才の私が言った。
それを受け止める様に、「たからがひかる」が抱きしめる。

今度こそ、この温もりを失くさないようにしたい。
記憶の奥底に残して、決して忘れないようにしたい……。


重なった唇から愛が伝わった。
全身が痺れるような感覚に襲われる。
この人とのキスも、決して忘れたりしない…と
深く脳裏に…刻み込んだーーーーー
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