もう一度、あなたと…
「ね…あの…宝田君っ!」

背中に向かって声をかける。振り向いた彼がニッと微笑み返した。

「何ですか?」

ドキドキする。
意識しないように努力しても、やっぱり彼はカッコ良すぎる…。

「あ…あの…ホントに迷惑かけてすみませんでした。ごめんなさい!」

もう一度、しっかり謝る。
自分の吐いた後ですら片付けるのは嫌なのに、ましてや他人のなんて、御免被りたいから…。

「いいですよ!気にしてません!」

笑って歩き出す。その足が急に止まって、くるりと振り向いた。

「でも、飲み過ぎは程々に!…あんまり若くないんですから!」

カチン!とくるような言葉を残して去ってく。
彼らしい毒舌に、少しホッとした。


「…だけど、デートなんて…」

相手に事欠かない人なのに、どうして私なんかと…?

不思議な所がある。でも、何故か憎めない人ーーー


「…まあいいか、あっちが車出してくれるんなら、私はランチでも奢ろう」

気軽に1日付き合えばいいと思った。
でも、それが画策された事だと後から知って、私の心は、大きく揺らいだーーー

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