今はまだ、このままで。
「レンタル寄ってく?」
「うん!今日はあたしが見たいやつでいーんだよね?」
「お前絶対変なの借りるだろ」
「変なのって言わない!順番でしょ、順番」
「だな。それが嫌なら来なくていいぞ、涼二…なぁ梨乃」
「そうそう。准ちゃんと二人で観るからいいよ!涼二は文句ばっかりだからさ」
ぷぃっと顔を背けた梨乃を見下ろして、涼二は小さく溜息を吐く。
どんなにつまらない映画を観せらられたって、梨乃と過ごせる時間を自ら放棄するつもりはないし、第一、准一と梨乃を密室に二人になんかしてたまるか、というのが涼二の気持ちで。
嘘くさい恋愛映画なんて全く興味はないけど、すぐに感情移入して泣いてしまう梨乃を見れるのはたまらなく魅力的だから。
「借りる前にチェックするからいいよ」
「えー、ズルイじゃん。この間涼二の好きなの観たでしょー」
「まぁまぁ、いいじゃねぇか……早く行こうぜ」
「マジで来なくていいのに」
「は?准一、なんか言った?」
「別に~」
「あっそ」
涼二は嫌そうな顔をする准一に向かって、ニヤッと口角を上げて不敵な笑みを作った。
准一の右側には、小さくて可愛い、昔も今もずっとずっと大切な、守ってあげたい女の子。
涼二の左側には、大好きだから、意地悪してでも自分を気に掛けて欲しくてしょうがない女の子。
改札を抜けていつもの道を、三人並んで歩き出した。
**おわり**
