今はまだ、このままで。



「そういえば准ちゃん、今日のサッカー大活躍だったね!」

並んで座った電車の中で、梨乃が本日の勝者 ―― 左隣の准一を見上げて興奮したように話し出す。


「なんで知ってんだよ?」

准一は内心嬉しくてしょうがないのを、持ち前のクールさで隠して笑い掛ける。
チラッと涼二に視線を向けると、面白くなさそうな顔をしていて内心ほくそ笑んだ。



「最初はね、暇だったからボーっと外見てたんだけど。歓声が上がったからなんだろう?って思ってちゃんと見たら准ちゃんが真ん中でガッツポーズしてたの」
「へぇ。何点目だろ?」
「多分一点目。だってね、その後全部見てたし!准ちゃんすっごいかっこよかったよ!」

満面の笑みを向けられて、准一も嬉しさを隠さずに梨乃を見つめた。


梨乃の成績のことを考えれば、ちゃんと授業を聞けと叱らなければいけないのだろうが、自分を見ていてくれたことはどうしたって嬉しかったから。
無邪気な笑顔と共に言われた言葉だって、驚くほどに准一の鼓動を跳ねさせた。


< 5 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop