今はまだ、このままで。
だがそんな准一に横槍を入れるのは、当然のことながら梨乃の向かい側に座る男で。
「梨乃…お前またちゃんと授業聞いてなかったのかよ~」
「わっ!ちょ、涼二止めてよっ!…ちょっとぉ、は、な、し、て~」
腕を伸ばして梨乃の髪をクシャッと撫でる。
それは、隣に座ると狭さ故にできないことで、向かいの席になった敗者だけの特権だった。
髪がグチャグチャになるのを嫌がって涼二の腕を掴もうとする梨乃に、笑いながらお前ばかなんだからちゃんと授業聞けよ、とか言って怒らせる。
准一は涼二の子供みたいな遣り方に呆れて、ジッとその場で涼二を睨んだ。