能力家兄妹!
姫奈は自分のセルフバティを見せることなんて出来なかった。

胸のあたりでぎゅっと握って離すことができない。


なぜなら、姫奈のセルフバティは使えないから。



「姫ちゃんのセルフバティは?」


美帰の言葉に、ズキっと胸が痛むのを感じた。

姫奈は「あはは」と苦笑いをした。その笑顔を見て、3人は顔を見合わせた。



「まだ……あのセルフバティなの?」



辰巳が優しく聞く。姫奈ははずかしそうにこくりと頷いた。



「だって…このセルフバティは大切だから。壊れて使えなくなっても、大切だから。いつか直るって信じてる。他のセルフバティ以外使いたくない…」


沈黙が流れる。


(やばい、変な空気にしちゃったかも)

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