大切なものはつくらないって言っていたくせに

夕陽が沈んでから、少しして俺は口を開いた。
「まあ、きっぱり忘れるなら、サッサと次の男に乗り換える事だな。」
遥は呆れた顔をして俺を見上げる。
「大先輩のアドバイスがそれ？」
「おまえ、オトコと何年ヤッテないよ？」
「はあ？」
「若いのに、枯れちゃってるだろ？夢に邁進するのもいいけどさ。」
と俺ははははと笑う。
遥は、顔を赤くして怒る。「瀬田さんに話しただけ、無駄だった。」
「なんなら、俺が相手になってやる。一晩でその男のことなんか忘れさせてやるよ。」
「スッゴイ自信。絶対無理なんだから。」
「そう言われると燃えるな。」
と精一杯冗談めかして言う。