今度こそ、練愛
『スタッフ募集』
たったそれだけの言葉なのに、私を惹きつける。
「あの……、求人、されているんですか?」
花を受け取ろうとした手そのままに問い掛けた。
私の視線に気づいた店長さんが振り返って、求人のポスターを確認する。
「はい」
「未経験者でもいいんですか?」
「ええ、経験に関係なく募集しています。どなたか働きたい方がいらっしゃいましたら……」
「はい、私を、ここで働かせてもらえませんか?」
「え?」
「私をここで働かせてください」
何か特別な考えがあった訳でもなく、言葉が飛び出した。自分でも理由はわからないけれど、この店で働きたいと思ってしまったから。
「本当に? それなら改めて面接をさせてもらいたいから履歴書を」
「履歴書なら持っています、今面接して頂けませんか?」
いざという時のために履歴書は常に持ち歩いている。バッグの中から履歴書を取り出して、テーブルに置いた。
「わかりました、ちょっと待っててくれる?」
唖然としていた店長さんは、呆れたように肩の力を抜いて頷く。
テーブルの上に置いているカラーを見たら、胸に希望が溢れてくるのを感じた。