今度こそ、練愛

掃除道具を片付けて事務所へ。
小さな部屋の真ん中には三台の机が向かい合わせに配置されている。きっと店長の高杉さんの机は、二台を見渡すように置かれた机だろう。



ところが目指す机ではなく、向かい合った二台のうちの一台の机の上にオレンジ色のファイルが置いてある。高杉さんの机だと思っていた机の上には何にも置いてないし、もう一台の机の上にもチラシの束が置いてあるだけ。



そういえば何にも聞かなかったけど、他にも従業員がいるのかな……



考えながらオレンジ色のファイルを持って、店へと戻った。



「ありがとう、じゃあその箱を開けてもらえる?」



ファイルを受け取った高杉さんが、早速床に置いた箱を指差す。



「高杉さん、他にも従業員はいらっしゃるんですよね?」

「うん、あと二人居るよ。ひとりは九時出社だから来たら紹介するね、もうひとりは今日は休みで明日の夕方出社するから紹介は明日ね」

「あ、シフト制なんですね」

「そうそう、大隈さんのシフトも後で作ろうね」

「はい、お願いします」



私の他に、あと二人働いているんだ。
どんな人だろう。いい人だったらいいな……、もう人間関係で悩みたくない。





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