今度こそ、練愛
それ以来、山中さんに会えないまま歓迎会を迎えた。山中さんも遅れてやって来ると高杉さんが教えてくれたけど、楽しみな反面不安でもある。
山中さんと川畑さんは、本当に似ていたから。
「有希ちゃんは彼氏いるの?」
いい感じに酔っ払った仲岡さんが、私に肩を寄せて尋ねる。
すると向かいに座っている高杉さんもテーブルに身を乗り出して興味津々。岩倉君は斜め向かいで黙々と飲んでいる。
「いないです、いたらいいなあ……とは思いますけど、なかなか」
「何? なかなか理想が高いんでしょう?」
すかさず仲岡さんが突っ込んでくる。既に目や口調はとろんとしてきてるのに、そういうところは敏感らしい。
「違いますよ、出会いがないだけです」
出会いがないのは本当のこと。
それに、もうしばらくは彼氏なんていらないかなと思っているのが本音。
「出会いなんて待ってたらダメよ、自分から見つけに行かなきゃ、ね? 岩倉君」
強い口調で割り込んだ高杉さんが、いきなり岩倉君に話を振る。岩倉君は驚きもせず、迷惑そうな顔もせず、愛想笑いで頷く。
そんな彼の隣に誰かが立ち止まった。
顔を確かめた瞬間、きゅうっと胸が締め付けられる。