鬼部長と偽装恋愛はじめました
ベッドへ仰向けになった私に覆いかぶさるように、祐平が抱きしめてくる。

そして熱くて深いキスを落としてきた。

「ん……」

甘い声を漏らさずにはいられないほどに、激しいキスに気持ちは高ぶってくる。

祐平の体を抱きしめて、しばらくこの甘い時間に酔いしれていた。

「祐平……そろそろ起きないと」

名残惜しさを感じつつ、アラーム音で我に返る。

「本当だな。残念だけど起きるか」

祐平は最後にもう一度、私にキスをしてベッドを下りた。

「あ、そうだ香奈美。今週は、夜遅くなるから」

「え? そんなに仕事が忙しいの?」

ズキン……とイヤな胸の痛みを感じる。

「ああ、週末は深夜残業だけど、それまでは、昨日講師されてた香坂さんがいたろ? 彼女と、打ち合わせやらいろいろあってさ」

「香坂さんと……?」

だからって、夜が遅くなるほどに?

「そう。だから、香奈美とは、しばらくゆっくりできないのが残念だな」

香坂さんは、本当に祐平の元カノなの?

それが聞けなくて、心がモヤモヤしてくる……。
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