鬼部長と偽装恋愛はじめました
カーテンの隙間から差し込む明かりで、朝になっていることが分かる。

自然と目を覚ますと、いつもより十五分早い。

昨夜、なかなか寝られなかった割には、すんなり目が覚めたかも……。

隣には、ぐっすり眠る祐平の寝顔があって、その姿を見るだけで頬が緩む。

まつげが長いこととか、大きな手とか、改めて見ると好きな部分が増えていく。

「おはよ、祐平」

囁くように挨拶をし、寝ている彼を起こさないように起き上がろうとした瞬間、

「おはよ、香奈美」

祐平に腕を掴まれて、驚いて振り向いた。

「お、おはよ。起きてたの?」

まさか、さっきの呟きを聞かれてた……?

もしそうなら、結構恥ずかしい。

「いや、今起きた」

「あ、そうなんだ」

良かった、私の呟きは聞かれていないみたいで一安心する。

「それより香奈美。まだ少し時間あるだろ? ここでゆっくりしよう」

祐平はそう言って、私の腕を引っ張った。
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