四百年の恋
 「北海道の寒さゆえ、冬期は暖を取るための火が引火するなどの火災が多く、福山城も何度か消失の危機にさらされましたが、無事に生き延びました」


 江戸時代は火事が多かったと聞く。


 (今みたいに119番したら、消防車が来てくれるわけでもないからな)


 「そして戊辰戦争の際は、旧幕府軍と新政府軍との間で、福山城争奪戦が起こりましたが、その時も破壊の危機を免れました。ですが城壁のあちこちに、戦いの際の弾痕が残されています」


 函館のみならず、ここでも戊辰戦争最後の攻防があったのだ。


 「第二次世界大戦時も、連合軍による爆撃の危険性はありましたが、その時もまた好運にも福山城は、生き延びることができたのです」


 全くもってラッキーな城だと、圭介はつくづく感心した。


 「それから今日に至るわけですが、築城から四百年近くになり、さすがに傷みが激しくなってきました。そこで十年ほど前より、地震などで傾いた土台の修繕など大規模な改修工事を行ない、先日の公開再開となりました」


 まさに彼らの訪問に合わせたかのように、福山城は再び一般開放されたのだった。


 「さて中に入ります。一部狭い通路とかもありますので、二人ずつ一列に並んで進んでくださいね」


 圭介はもちろん、真姫と横に並んで城の内部へと進んだ。
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