四百年の恋
***


 「なんかクラスに男子がいると、緊張するよねー」


 ランチタイム。


 美月姫とその友人数名は、一階の大食堂の一角で昼食を取っていた。


 女子高時代から、昼はここで食べることになっていた。


 連日、十種類程度のメニューの中から一つを選択。


 バラエティに富んだ給食のようなものだ。


 美月姫たちは食べ終わった後も、無料のお茶をカップに入れて持って来て、おしゃべりに興じていた。


 「今までみたいに、のびのびできないよね。どうしても視線が気になる」


 「なんで気になるの?」


 美月姫は友人に問いかけた。


 「それは……。中学校の時からずっと女子だけだったのが、いきなり男子が入ってきたわけだし……」


 「それにしても迷惑だよね。いきなり共学化が一年早まって」


 美月姫はため息をついた。


 「で、でも! クラスの男子の中には、かっこいい子もいるし。憧れてたんだよね、クラスの男の子に片思いとか……」


 「例えば?」


 美月姫はあきれたようなまなざしで、友人を見つめた。


 「ねえ……。吉野先生ってかっこいいよね」


 別の友人がぼそっと告げた。
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