四百年の恋
 ……それから二年。


 圭介は美月姫の成長を見守り続けた。


 背が伸び、徐々に大人っぽくなっては来ているが、まだまだ少女といった感じだった。


 幸いにも一年次と二年次、連続して社会科の授業を受け持つことができたので接点はあった。


 学園始まって以来の優等生と称されるほどの秀才だったので、彼女の進路に関する調査と偽って、彼女の担任教師から容易に情報を仕入れることができていた。


 家族関係や、中等部時代の話。


 そして……素行。


 「彼女は全く、裏らしい裏もありませんね。よく、昼間は優等生で夜はレディースの総長……なんてマンガなどの設定で見ますが、彼女に関しては全く問題がありません」


 「申し分のない、理想的な生徒ということでしょうか」


 逆に真面目すぎて、学校側が心配しすぎていると聞く。


 「ボーイフレンドも、過去に一人もいないようです。まだ子供なんですね。好きな芸能人とかも、特にいないようです。勉強以外に興味がないのは、学校側にとっては非常に助かるんですが……」
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