四百年の恋
 ……その日のうちに、学園に日頃見かけないような連中がゾロゾロ出入りし始めた。


 「ハイテク捜査……?」


 ウサギ小屋は職員室の斜め下だったため、圭介も職員室の窓から眺めていた。


 指紋や足跡採取などの、基本作業の他。


 ありとあらゆる毛や毛髪なども採取。


 得体の知れない薬品を散布して、痕跡を確かめたり。


 小さな証拠も見逃されない雰囲気だった。


 「丸山乱雪が動いたようです」


 「丸山幹事長が?」


 同僚が教えてくれた。


 「たかが、って言えば語弊があるけれど、動物虐待でここまでハイレベルな捜査が行われるのは、通常では考えられない」


 「にもかかわらず」


 「幹事長は、自身の選挙区でこのような残虐な事件はあってはならないことだ、とコメントしている。最初の事件を見過ごすと、その後徐々に凶悪化し、いずれは人間を狙った犯罪に発展するのがよくある例であると」


 「それにしても天下の幹事長が、我が校のためにここまで綿密な捜査を」


 「清水優雅ですよ」


 同僚に言われずとも、圭介も察していた。
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