四百年の恋
 その後も美月姫の友人と優雅の友人が付き合っているという繋がりがあったので、グループで行動する機会は多かった。


 だけど優雅はやはり、以前のように親しげに寄っては来ない。


 最初は偶然かと思ったけど、明らかに距離を置いている。


 (あんなことがあって、向こうも恥ずかしいのだろうか)


 迷い込んだ森の奥で、衝動的に重ねた体。


 ただの同級生だった関係が一変。


 たとえ一夜限りのものだったとしても、こういうことになってしまった事実は変えられない。


 愛のない行為だったとしても、その相手と日々教室で顔を合わせ続けていかなければならないという現実に、優雅は当惑しているのかもしれない。


 美月姫はそう予想した。


 それは気恥ずかしい思いゆえか。


 (それとも……抹殺したい過去?)


 考えれば考えるほど、どうしても美月姫は悪いほうに頭がいってしまう。


 (やり逃げ)


 相手は誰でもよかったのかもしれない、たまたまそばにいたのが自分だっただけで。


 ますます不安になってきた。


 少なくともあの夜までは親しく交流できていただけに、いっそあんなことしなければよかったのかも、という後悔の波が美月姫には押し寄せていた。
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