四百年の恋
 「……第一清水くん、どうして来なかったんだろう。出席予定だったんだよね」


 友人は残念そうな表情でつぶやいた。


 「俺たちも気になってたんだ。以前は楽しそうに遊んでいたのに、秋くらいから妙に大村と距離を置くようになって。何かあったのかなって」


 「……」


 事情を知らない友人たちは、答えは何も出せなかった。


 それらを横で聞いていた圭介は、動揺を抑えるので必死だった。


 (大村美月姫が……。やはり運命に導かれて、清水を愛し始めるようになっていた)


 覚悟はしていたとはいえ、圭介にはショックだった。


 だがなぜ優雅は現れなかったのか。


 本当に本人の意思によるものなのか。


 急に不測の事態に見舞われたのか。


 それとも何か別の力が働いたのか。


 (結局は憶測の域を出ない)


 全ては謎のまま、まるで真冬のように雪は静かに積もり続けた。
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