四百年の恋
 「だめじゃないか。変な奴らには毅然と振る舞わないと。俺がいなかったら車に連れ込まれて、そのまま何されたか分からないんだぞ」


 美月姫は圭介に叱られた。


 「第一、その服装も華美というか派手すぎる。不用意に露出の多い服装は、変な男に狙われやすいんだからもっと控えめに……」


 つい学校教師の本領を発揮してしまい。


 美月姫の服装にまで注意を与えてしまった。


 「……」


 美月姫は、変な男たちに車に連れ込まれそうになった被害者にもかかわらず。


 振る舞いや服装が、変な奴らに付け込まれる隙を与えたんだなどと怒られてしまう結果になり、むくれていた。


 「ごめん。言い過ぎた。いきなり連れ込まれそうになって、怖かっただろ?」


 美月姫が黙って耐えているのを見て、圭介は言い過ぎたと反省した。


 「怖かったです……。先生は買い物に行ったきり、なかなか出てこないし」


 お腹がすいたので、ラッキーピエロのハンバーガーをテイクアウトして、五稜郭の公園で食べようとした。


 車に美月姫を待たして、圭介は一人で調達に出向いたのだが……タイミング悪くやたら混み合っていて、15分以上待たされてしまった。


 美月姫もさすがに退屈になってきて、車の外に出て店の入り口付近をうろうろしていたところ、先ほどのナンパ男に引っかかってしまったのだった。
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