四百年の恋
 そして再び、目を開いた時。


 「ま、真姫!?」


 圭介の脇には、かつて愛した真姫がいた。


 「……」


 現実ではありえない展開のはずなのに。


 そばにいるのは美月姫ではなく真姫だったと知り、圭介は心から安堵していた。


 「そうか、これは夢だったのか」


 圭介は今、夢を見ているのだと確信した。


 「お前に会えるのだとしたら、たとえ夢の中でも嬉しいよ、真姫」


 目が覚めたら、もう触れることのできない相手。


 目覚める前にもう一度その髪に触れたいと願い、手を伸ばした時だった。


 「……真姫? なぜ泣いている?」


 真姫の瞳から涙がこぼれ落ちたのを、薄暗い部屋の中にもかかわらず圭介は確認した。


 「……あの子に触れては駄目」


 真姫がはじめて口を開いた。


 美月姫の声と似ているので、久しぶりという感覚はない。


 「あの子って誰だよ」


 「大村美月姫」


 真姫は冷たく答えた。


 「大村に? なぜ?」


 「あなたはあの子と幸せにはなれない」


 まただ。


 初芝静香と同じ台詞。


 なぜどいつもこいつも……。
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