四百年の恋
 「それが、何だ今さら? 新たな幸せを見つけて、歩き出そうとしている俺の邪魔をしに、わざわざ現れたのかよ? 勝手な奴だな」


 「それは……」


 「お前、入水する直前に俺に、誰か別の人と幸せになってほしいと言い残しただろう」


 「聞こえていたのね」


 「そう願っておいて、今さらどういうつもりだよ。俺はお前が願った通り、お前を解放してやる。だからもう俺の邪魔はしないでくれ」


 「だめなの!」


 真姫は大声で圭介を制した。


 「そこまで言うのなら、明確な理由をお聞かせ願おうか。俺が納得するに値する」


 「……」


 真姫は口をつぐんだ。


 「言えないのか? それとも最初から大した理由もないのか」


 「違うの」


 真姫は一方的に懇願するだけなので、圭介がこの場では優位に立っていた。


 「まあいい。時間の無駄だ。このまま不毛な言い合いを続けても、夜が明けてしまう」


 圭介は作戦変更した。


 「お前が俺の言うことを聞けば、美月姫とのことは考え直してもいい」


 「え……」


 真姫は顔を上げた。


 「生き返ってくれ。そして美月姫を忘れるくらいに俺を愛してくれたら、考え直してもいい」
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