四百年の恋
 大学入学後。


 美月姫の専攻した学部の男女比は6:4くらいで、男子のほうが多めだった。


 学部の特長として、授業やゼミなど授業選択も似かよっており、学部内のコンパも多く接点が多い。


 真面目で純朴そうな男子が多かった。


 共同作業などで接するうちに、美月姫に好意を抱き始めた男子も数名いた。


 だが清水優雅に対する想いを引きずっていた美月姫は、彼らの好意を笑ってごまかし、気づかぬふりを続けていた。


 恋愛とは無縁な大学生活を送っていたはずなのに。


 夏休みに帰省して、函館駅に降り立った途端……先生に再会してしまった。


 高校時代は担任教師としてしか見ていなかったけど、卒業生として接しているうちに、先生を男性として見つめるようになってしまった。


 年齢差のある、大人の男性。


 自分より長く生きている分、経験も多いし世界が広い。


 話を聞いているだけで楽しいし、いざと言う時頼りになる。


 同世代である大学の同級生たちが、子供に見えてしまう。


 最初は先生に、話を聞いてもらえるだけで満足していたのに。


 そのうち、いつも会いたいと願うようになり。


 今では会っているだけでは、我慢できなくなってしまった。


 もっと話を聞いてほしい。


 そばにいてほしい。


 私だけ見つめてほしい。


 愛してほしい。


 抱いてほしい……。


 ますます欲ばりになっていく自分がいる。
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