勝手に百人一首
(………エレティナを失って、俺は、こんなにも苦しい思いを抱えて生きていくというのか………)






どれだけ時が経っても、この血を吐くほどの苦しみが消えるとは、とうてい思えなかった。





きっと一生、エレティナのことを悔やみながら、苦しみながら、生きていくことになるだろう。





エレティナへの恋を叶えようとすれば、レイモンドが死罪になるのは確実だ。




しかし、エレティナは王族。



しかもレイモンドの一方的な行為、勝手な振る舞いとあれば、エレティナだけは助かるに違いない。







(これほどの苦しみ、もはや、死罪になるのと変わらない。


このままエレティナを失うのならば、俺は死んだも同然だ。



……それならば、いっそのこと………)







レイモンドはゆっくりと立ち上がり、夜色のマントを羽織った。







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