How much?!
「これは?」
「絵画展のチケット。妹に貰ったんだけど、行くか?」
「行きますっ!」
「プッ……」
「………すみません。つい、力が入っちゃいましたね」
私は絵画が大好きで、美術館の年間パスポートも所持するほど。
「来週末だけど、平気か?」
「土曜日は遅番なので無理ですが、日曜日なら公休日なので大丈夫です」
「そうか。じゃあ、日曜日にするか」
「はいっ!!」
やったぁ、麻生さんとデートだ!
しかも、大好きな絵画展だなんて……贅沢過ぎる。
チケットを手にして思わず頬が綻ぶと……。
ふと、視界の隅に先程まで彼が手にしていた財布が目に留まった。
「あの」
「ん?」
「さっき、何に対して笑ってたんですか?」
「えっ?」
珈琲カップを手にしていた彼は、自然と財布に視線を向けて。
「この3週間の飲み代が幾らになったかなぁ?って、思っただけ」
「えっ?」
「俺、………めちゃくちゃ自己嫌悪に陥ってて、普段はあまりお酒なんて飲まないのについつい飲まずにはいられなくて……」
「そんなに飲んでたんですか?」
「フッ………まぁな」
彼は照れ隠しのように髪を掻き乱した。
「………どれくらい使ったんですか?」
「え?」
「だから、どれだけ飲んだんですか?」
私の問いに応えるように彼は財布の中からレシートを出した。
「えっ、…………こんなにも?!」
「だから、言ったんじゃん。結構飲んだって……」
「それにしたって……」