あなたの優しさが…
【次は〜終点〜終点】
そのアナウンスに目が覚めた。
終点…降りなきゃ。
駅から出ると、懐かしい風景だった。
「ここ…私が産まれた街…」
偶然なのか、必然なのか…運命なのか。
そう思いながら、私はある場所へ足を運んだ。
【売家】
張り紙が貼られている
私が住んでいた家。
家族3人で仲良く暮らしていた家。
今はそんな面影もなく、ボロボロ。
あの頃に戻りたい。
いや…
あの頃からやり直せたら
少しは違ったかな。
あ、けどそうなら雅樹に出会えなかった。
人生って難しいね…
そう思っていたら
『美咲ちゃん?』
その声に振り返ると
「お…おばぁちゃん!」
本当に昔に戻ったみたいだった。
おばぁちゃんを見るなり
私は小さな子供みたいに泣きじゃくった。
おばぁちゃんは、よしよしって
子供をあやすように
『寒いから、うち行こう』
優しく私を抱きしめてくれた。