あなたの優しさが…

毎日変わらず働く。


私の衣装は青いグラデーションの長襦袢。


新調した薄いピンク桜がちりばめている長襦袢はまだ袖を通していない。


あの新規客に、1番に見せたかったから。
それが私の、今の楽しみだった。



ここ数年、こんな感情すら忘れていた。

誰かを待つのが、こんなに嬉しいなんて、自分でも笑っちゃう。


そんなニヤついている私を見ていたマネージャーが声をかけてきた

『つ…翼…』

驚きと呆れたような声。



あ…やばぃかな。

「思い出し笑です…
…予約入ってますか?」


誤魔化しが効くかわからないが

仕事しなきゃっと、予約確認をした。



『今日は次のでラストだわ』


あと一人か。
今日も来なかったなぁ。
あの新規客。。。。
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