あなたの優しさが…
雅樹はマンションでいいと言った。
ゆかりさんは本家に住めと言う。
私と暮らしたいらしい。
私はどっちでもいいんだけど…
30分以上、平行線。
その時、誰かが部屋に入ってきた。
『親子ゲンカか?おぅやれやれ』
雅樹と声が似てる…いかにも極道っていう立ち姿。
この人…雅樹のお父さん…
桐生組の組長さんだ。
雅樹もゆかりさんも気づいてない。
「はじめまして。高橋美咲と申します」
挨拶をすると、
雅樹のお父さんは私の頭をポンポンした。
『ゆかりが気に入ったのは初めてだ』
『雅樹の事、頼むな…あと、ゆかりのことも』
「こちらこそ、よろしくお願いします」
頭を下げた。