二人のプリンセス
アグレラの妻、エマ・リバルは今から五年前にこの王家に嫁いできた。

長い間この二人の間には子供がなかなかできないでいた。
しかし、この度二人は念願の子供を授かり、つい先ほどアグレラのもとにエマが無事子供を産んだという知らせが届いたばかりだった。


「申し訳ありません。私の責任です。私が全て悪いのです。その子にあたるのはお止め下さい」


鈴の鳴るような声。
出産後の疲れがまだきちんと取れているはずもない。そこには、荒々しい呼吸の目立つエマが立っていた。

突然現われたエマにその場は一瞬にして静まり返った。
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