年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「あれ、大輔。なんだ、沙羽ちゃんと知り合いか?」
カウンターの中からマスターが大輔くんに声をかけて、その緊張感が途切れた。
少し目を見開いて祥裄を凝視していた大輔くんが、はっとしたように祥裄からマスターに視線を移動する。
「カットモデルしてもらってるんです。あの、……何回か話した」
なんだか言いにくそうに付け足した言葉に、ああ、とマスターが頷いた。
「そりゃ偶然だ。沙羽ちゃんもここの常連さん」
も、ってことは大輔くんもよく来るのか。あんまりお酒とか飲まないイメージだけど……。
「こんばんは。大輔くんもよく来るの? この店」
「あ……」
口を開きかけた大輔くんの言葉を遮るように、また後ろから声がかかる。
「あー、大輔、誰、その美人さん! 紹介しなよ!」
少し派手めの女の子だった。
しっかりしたアイメイクに、グラデーションがかかった赤に近い色の、肩より少し上のラインで切り揃えられた髪。雰囲気からしてあんまりお固い仕事の人には見えない。
完全に酔っ払っているようで、大輔くんにしなだれかかるように肩に顎を乗せた。
「ナンパかー? 許さんぞー?」
「ちょっと酔いすぎ、咲さん……」
大輔くんが呆れ気味に呼んだ、その咲さん、という言葉に、私の心臓が跳ねた。