年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~


食事を終えて、私たちはアルコールの力を借りて、散々笑いあった。
祥裄の愚痴も、私の自慢話も、マスターのくだらない話も、なんだかやたら楽しく感じて、あっという間に時間が過ぎる。


そろそろ時間も遅いし帰ろうか、という雰囲気になったところで、ガヤガヤと団体客が訪れた。若い子達の集まりみたいだ。少し騒がしくなりそうだし、お開きのタイミングとしてはちょうどいいだろう。

「じゃあ、今日はごちそうさま」

「今度はお前がおごれよ。もう彼女じゃないんだからな」

「なに言ってんの、今度からは割り勘に決まってる……」

財布を取り出す祥裄に当然の顔で会計を任せて、苦笑いの要求を躱そうとすると、後ろから私を呼ぶ声がした。



「沙羽さん?」



ここで聞こえるはずのない響きで名前を呼ばれて、驚いて振り返る。


「あ、やっぱり沙羽さん……」


若い子の集団のなかから大輔くんが抜け出して、こちらへ近付いてくる。

微笑を浮かべながらまっすぐ私を見ていた目が少し横に逸れて、祥裄を捉えた。


その視線に、なぜだかドキリとする。


別に私が誰といようが大輔くんは気にしないだろうけど、なんとなく祥裄と一緒にいるところは見られたくなかった。


大輔くんと祥裄の視線が交差する。

すっと祥裄の目が細められて、不思議な緊張感が二人の間に流れた。
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