年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「ちょっと、いつから待ってたのよ? 一体なんの用事……」
「お前今日誕生日だろうが。遠藤の誘いも断ったって聞いたし、どうせ一人寂しく家で酒盛りでもしてんだろうと思って、差し入れを持って来てやったんだよ。ケーキなんて一人で食っても楽しくないだろうと思ってさ」
近付いて見たら、祥裄の足元に置いてあるのは私が好きなケーキ屋さんの紙袋だった。ちらっと覗くとケーキの他に、ワインらしきボトルも見える。
「だったら電話くらい……」
「したけど出ないのお前だろうが。家にいるのかいないのかわかんないし、帰るに帰れなかったっつの」
はっとしてカバンを探った。携帯を取り出すと、着信履歴が三件、全て祥裄の名前。店で荷物を預けてから、一回も取り出して確認してなかった。
「ごめん」
「まあいいけどさ」
そうそっけなく返して、祥裄は私から視線を大輔くんに移動した。
大輔くんは立ち止まったまま、こっちを瞬きもしないで見ている。その視線に、今まで感じたことのない険しさを感じた。敵意、と言ってもいいような。