年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~


「あの。……大丈夫ですか?」


後ろから傘が差し出されていた。


顔をあげると、若い男の子が心配そうに私を見て、自分の傘を私のほうに傾けていた。
ぱっちりとした大きな目が印象的なその男の子の、背中は傘からはみ出して、肩にかけた荷物が雨に濡れている。


「傘、ないんならこれ使ってください。ていうかびしょ濡れ……」


座り込んだまま顔だけ向けて、それから動こうとしない私を立たせようと、腕を伸ばしてきた。

大きな手が私の腕を掴むと、驚いたように目を丸くする。


「冷たっ。もしかして長いこと雨に濡れてたんですか? このままだと風邪ひいちゃいますよ」


ぐいっと、顔に似合わず強い力で引き上げられる。されるがまま立ち上がると、その子は私の手に傘を押し付けた。

「とりあえず体拭きましょう。タオルなら腐る程あるんで」

そう言って道の角にある建物に向かって走っていった。
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