年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
なおも言い募るお母さんの話を聞き流して、適当なところで電話を切った。めんどくさいな、と思わずにはいられなくて、勝手に小さくため息が漏れる。

そんな私を見て、祥裄が言った。

「お前、見合いすんの?」

「しないわよ、お母さんが勝手に言ってるだけ。知ってるでしょ、うちのお母さん言いだしたらしつこいの」

祥裄は何度かうちに遊びに来たことがある。お母さんにももちろん会ったことがあるし、私からも何回も話を聞いている。

またスプーンを動かし始める私を、祥裄はじっと見つめていた。


「じゃあ結婚するか、俺たち。挨拶行ってもいいけど」


祥裄の口から軽く出てきた言葉に、真ん前まで持ってきたオムライスを迎え入れようと大きく開けた口のまま、ぽかんとしてしまった。

「あんたなに言ってんの?」

「だから、正式に挨拶に行けば見合いだなんだって言われずに済むだろ」

「じゃなくて。今、結婚、って言った?」

「言った」

平然とした顔でグラスを傾けている。私は一旦スプーンを置いて、心を落ち着かせようと深呼吸した。
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