年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「……私、祥裄のこと、もう一回好きになれるのかな?」
「その言い方だと、今は好きじゃないように聞こえるけど?」
「男として好きなのか、って言われたらよくわからないです。結婚相手としては申し分ないと思うけど」
絵里ちゃんのように、はっきり祥裄を好きだと言えるかといえば、そうじゃない。
「じゃあ大輔は?」
マスターが落ち着いた声で言った。
「男として好き?」
「……」
無言で答える私に、ふ、と小さく笑う。その笑いが癪に触って、私はムキになって言い返す。
「恋愛と結婚は、違うんですよ」
「沙羽ちゃんは恋愛より結婚がしたい、と」
「はい」
「じゃあ迷わなくていいじゃない」
「……」
また無言の私に、じゃあ、とマスターが言った。
「恋愛して、結婚すれば? 大輔と結婚すればいい」
その言葉に、今度は私が自嘲するように笑う。
「もう遅いです。大輔くんはもう新しい彼女ができたみたいだし」
投げやりにそう言うと、マスターが意外だとでも言うように片眉を上げた。
「大輔に? 新しい彼女?」
どうやら知らなかったみたいだ。もしかしたら、まだ周りには黙っているのかもしれない。