年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
男の人は大抵は暑がりだと思うけど、特に大輔くんは暑さに弱い。ふわふわの毛並みの大型犬が舌を出してでろーんと寝そべっているように、大輔くんも暑いと途端に動きが鈍くなって、涼を求めてフローリングにべたっとくっついたりしている。
今年の夏はいつもに増して早い時期から暑い日が続いていて、大輔くんも少々へたり気味のようだ。

反対に私は寒がりなので、エアコンの設定温度については度々喧嘩する。それでも結局はいつも私が勝利して、大輔くんは暑い暑いと言いながら我慢してくれることになるのだけど。

むすっとしたように目を閉じてふて寝を始めて、それでも私のことは離さない。目を閉じたまま私の肩が出ないようにタオルケットをかけ直してくれて、やっぱり大切にされてるなあ、なんて心の中がくすぐったくなったりする。

目を閉じた彼の睫毛を人差し指でそっと撫でると、ぴくっと瞼が震えた。それでも目を開けないので、鼻や唇や耳まで顔中全部撫で回して首筋まで辿った途端に、がばっと起き上がって、私の手を掴んで覆いかぶさってきた。

「そういうことしてるとまた襲いますよ!?」
「えー、もうムリ。体力の限界」

笑いながら私が言うと、彼はへなへなと脱力して、ベッドから這い出した。下の服だけ身につけて、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出すと、一気に半分くらい勢いよく飲み干す。
飲み込むたびに喉仏が動いて、そういう男っぽいところをいちいち発見しては、密かに見とれた。
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