年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
大輔くんと付き合い始めてから、はやくも二ヶ月ちょっとが過ぎた。

少しばたついた身辺もようやく落ち着いて、今はこうやって、どちらかの休みの日には、部屋で一緒に過ごすのが恒例になっていた。

私がお休みの日には、その前日の真夜中に仕事帰りの大輔くんが私の家に来て、私が作ったお世辞にも手が込んだとは言えない料理を、おいしいおいしいと連発しながら食べて、私の家に泊まっていく。
大輔くんがお休みの日には、その当日に私が仕事帰りに大輔くんの家に行って、大輔くんが作った食材は安物だけどきちんと手の込んだ料理を、お世辞抜きにおいしいと言いながら食べて、大輔くんの家に泊まっていく。

一人暮らしが長いせいか、大輔くんも料理が上手。本人曰く、なけなしのお金の中でできるだけおいしいものを食べようと思って工夫していたら、必然的に料理の腕が上がったらしい。外食なんてほとんどしませんから、と笑う彼に、手を抜いて外食ばっかりしてきた私は猛烈に反省した。瑞香に頼んでお料理教室でも開いてもらおうか、と本気で考えている。


私の家の方が広いし、私の方が時間に余裕があるから、祥裄の時のように私の家に来ることが多くなるかな、と思っていたけど、大輔くんはそれを嫌がった。どちらの負担も平等になるように、どっちの家にも同じくらい泊まるし、食事のあとの片付けだってどちらの部屋にいても変わらず二人で行うようにしている。

女だからとか、年上だからとか、そういうのは一切関係なく、対等な立場でいようとしてくれて、きっとそれが彼の、自分が年下であるという引け目を紛らわす、矜持の保ち方なのだろうと思う。


今日は大輔くんがお休みで、と言っても講習会で一日潰れたらしいけど、ちゃんとご飯を作って待っていてくれた。
夏野菜を使ったさっぱりしたメニューで、多分に私の好みを考えて作ってくれたもの。自分の女子力を鑑みながら少しだけ落ち込みつつ、おいしく平らげて、二人で片付けたあとは待ち兼ねたように大輔くんに飛びかかられて、あとはまあ、私がおいしくいただかれた感じだ。
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