年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
ノーブルはそうでもないらしいけど、学生さんのお客さんが多い本店の方は、浴衣の着付けやヘアセットの予約がいっぱいで、大輔くんはそっちに駆り出されるらしい。
セットに関しては練習し始めたばっかりで、今度の花火大会で初めてお客さんを相手にするのだと言っていた。その予行演習がしたいので髪を貸してください、と頼まれて、今日の夜、モデル役をするためにお店へ行くことになっている。

そして、今日はもう一人、ロングヘアのモデル役の子がお店に来る。私の髪でショートヘアのアレンジを、その子の髪でロングのアレンジをそれぞれ練習するのだそう。

その子に会うのを、私は内心ものすごーく楽しみにしていた。

妙に緊張します、と大輔くんが言っていた。

「だって失敗できないじゃないですか。いや練習だし失敗してもいいんですけど、変なことできないというか、いや別に変なことはしませんけど、なんか恐れ多いというか」

ごちゃごちゃ呟いていたけれど、まあその気持ちはなんとなくわかる。


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