年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
タケさんと同じスタイリストを名乗ることは、タケさんに並んで店の看板を背負うことだ。俺が失敗すればタケさんにも迷惑がかかる。
ましてや今回はずっとタケさんを指名している大事な大事な常連さんだ、絶対失敗できない。

幸い日にちはまだあるし、とにかくタケさんの言う通り、練習するしかない。

アシスタント時代からほとんど専属みたいにくっついていたから、鈴坂さんが以前にセットをした時のことは覚えているし、好みは大体わかる。タケさんに意見を求めながら何パターンか作って、ひたすら練習し続けた。

それなのに、これなら大丈夫かな、とようやく自信がつき始めていた時に、またタケさんの常連さんの予約が入った。こちらは鈴坂さんよりももっと古株、牧野(まきの)さんという名前の、もちろんこだわりも強いロングヘアのOLさん。

タケさんは当たり前のように、俺の担当で予約を取った。

悲壮な顔をしている俺がさすがに心配になったのか、直前に一度、生身の人間でリハーサルしてみるか、と提案してくれた。当日はタケさんに助けを求めることはできないから、ここで不安要素は取り除いておかなければ。
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