年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
彼女の片手がきゅっと俺の服の胸元を掴む。

その瞬間、ヒューっと口笛が聞こえて、我に返った。

「いいもん見させてもらったけど、飴が溶けちゃうよ、お二人さん」

店先からガラの悪そうな男の店員が、からかいのヤジを飛ばす。はっとして顔を上げると、周りの人がみんなこちらを見ていた。

沙羽さんは、首まで真っ赤にしながら俯いている。

――なにやってんだ、俺!

「っ、すみませんっ」

誰に向けるでもなく謝って、沙羽さんの手を引っ張って足早にその場を離れる。猛烈な恥ずかしさを抱えながら、人混みを掻き分けて、ひたすら前に進む。

「大輔くん、ちょっと、ストップっ……」

後ろから必死な声で止められて、ようやく足を緩めることができた。
振り返って、あ、と気付く。今日の沙羽さんは浴衣で、しかも下駄を履いているのに、俺の早足ペースで歩かせてしまった。

「ごめんっ、沙羽さん、大丈夫っ?」

沙羽さんは軽く顔を顰めていて、よく見ると足をかばっていた。しゃがんで足元を見ると、右足の鼻緒のところが擦れて赤くなっていて、ひと目で痛そうだとわかる。
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