年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「残りの時間で、俺が持ってるもの全部、伝えていくから。あとはお前次第だ。大丈夫、お前ならできる。俺が責任持ってやる」

あと一年、そんな短い時間で、タケさんが持ってるもの全部なんて、果たして吸収できるんだろうか。タケさんみたいに、自信を持つことができるんだろうか。

何も言えなくなってしまった俺に、タケさんは優しい声で語り続ける。

「俺も二十三でスタイリストになって、二十五でクリアを辞めたんだ。それから一年ブランクはあったけど、次に美容師に戻った時に本店を任された。ほら、大体一緒だろ?」

「俺とタケさんは違います。タケさんができたからって俺ができるとは」

「俺よりお前の方が強い。俺だって当時は不安だらけだった。今だって不安なことばっかりだ。……でもお前はあの時の俺と違って、支えてくれる人がちゃんといるだろ?」

すやすや眠る沙羽さんが、なにか夢でも見ているのか、ふわっと幸せそうに微笑む。
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