年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
ふーん、と気のない返事で落胆をごまかしていると、タイミングよくラーメンが運ばれてきた。すぐに餃子とチャーハンも届いて、二人揃っていただきます、と手を合わせる。

想像を超える量の多さで、上に山盛りにされた野菜のせいでなかなか麺にたどり着かない。
食べきれるのだろうかと怯む私とは正反対で、大輔くんは恐るべきスピードで口の中に運んでいく。

よほどお腹が減っていたのか、チャーハンなんて噛まずに飲み込んでいるんじゃないかと思うほどだ。

「沙羽さん、餃子半分こしましょう」

「いや、いい、なんか見てるだけでお腹いっぱいになってきた……」

無邪気に餃子の皿を差し出してくる大輔くんは、断る私にむ、と口を尖らせる。

「ダメですよ、ちゃんと食べなきゃ。沙羽さん細いんだから」

「普通の量はちゃんと食べるよ。きみこそちょっと食べるの早すぎじゃない? いくらお腹減ってるからって、もうちょっとゆっくり食べたほうがいいよ」

呆れたような私の目に、大輔くんの手がふと止まる。

「仕事柄、食べるのどうしても早くなっちゃうんですよね。気を付けようとは思うんですけど」

「美容師さんと食べるの早いのとなんの関係があるの?」

「食事休憩なんて時間はないので、昼飯は手が空いた隙にがーっとかき込むんです。うちの店スタッフ三人しかいないから、のんびり食べてる暇ないので」

帰りが遅い上に休憩時間までないのか。しかも一日百円の生活を強いられる薄給。
華やかなイメージと違って、美容師というのは意外と過酷な職業らしい。 
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