年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「やっぱり入った頃は辛かったんですよね。

ひたすら練習で遊ぶ時間も金もないし、その割に仕事と言ったらシャンプー、マッサージの繰り返し。おもしろくもなんともなくて、何回も辞めようと思いました。でもその度にタケさんが引き止めてくれたんですよ、つまんなくしてるのは自分だ、好きなようにやりたいならそうできる技術をつけろ、って。

それを他の人に言われてたら反発してたかもしれないんですけど」


はい、とグラスを手渡された。受け取って、口を付ける。


「新人の練習って担当の先輩が見るんですけど、誰の時でもタケさんは必ず付き合ってくれるんです。で、みんなが帰るまで残ってる。

初めはなんで残ってるんだろう、って不思議だったんですけど、しばらくして他の人に、その後に自分の練習してるんだ、って聞いて。

その頃はもう店で一番売り上げてたし、それ以上うまくなる必要なんてないんだけど、自分で自分に納得してないというか、妥協しない人なんですよ。

それを知ってからはつまんない、なんて言えなくなりました。

とにかく練習して、そしたらどんどんできることが増えて、お客さんにも褒められるようになって、それが楽しくて。

タケさん、教えるのわかりやすいし、でも他人にも妥協しないからダメなとこははっきり言ってくれて、それで逆に認められたい、って燃えるというか」
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