恋する白虎
永蒼は顎を撫でながら、杏樹の体を頭から足先まで眺めた。

上品な顔立ちに、羽根のような睫毛。

細い体に、豊かな胸、絞り上げたような腰に、すらりとした長い脚。

ほーお……。

「諦めろよ?」

永蒼は、懐から小瓶を取り出しながら言った。

「この女がお前を忘れて、他の奴を好きになっても」

永舜は眼を見開いた。

「そして、その男が……俺でも」

兄上!

永蒼は、グイッと唇を引き上げ、弟を見た。

「それが俺の条件だ」

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