恋する白虎
永舜は、兄の言葉に頷くしかなかった。

俺は思ったんだ。

杏樹が無事に命を取り止めるなら、俺はもう何も望まない。

永蒼は、クスリと笑った。

「交渉成立だ」

言うなり小瓶の液体を口に含み、そのまま唇を杏樹に付けると液体を流し込んで飲ませた。

「これで助かる。命はな」

永舜は、杏樹を愛しげに見つめ続けた。
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