恋する白虎
永蒼は、頬を歪めた。

「もういい、喋るな。今、蘭寿草を飲ませてやる」

永蒼は、懐から茶色い小瓶を取り出した。

それを見たリンは、眉を寄せて永蒼を見た。

「嫌です、忘れたくない」

「ダメだ、飲まなきゃ死ぬ」

「忘れたくないの、永蒼さまに恋してるのを」

「また、すればいい!!」

「……え……?」

切れ長の眼をしっかりとリンに向け、永蒼は低い声で囁くように言った。

「俺がしてやる。俺にまた、惚れさせてやる」

リンは大きな瞳に涙を溜めて、呟くように言った。

「それは……とても楽しみです」

一筋の涙がリンの頬を伝い、彼女は静かに眼を閉じた。
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